1.12 なりすまし攻撃とは?手口と対策を徹底解説:ユーザー偽装、IPスプーフィング、踏み台攻撃

なりすまし
情報セキュリティ
ユーザー偽装
IPスプーフィング
踏み台攻撃
不正アクセス
セキュリティ対策
フィッシング
ソーシャルエンジニアリング
二要素認証

1.12 なりすまし

**なりすまし(Impersonation)**は、攻撃者が正規のユーザーやシステムになりすまして不正な行為を行う攻撃手法です。これにより、情報の盗難、データの改ざん、不正アクセスなど、さまざまなセキュリティ上のリスクが発生します。このセクションでは、なりすましの概念と主な手法について詳しく解説します。

1.12.1 なりすましとは

なりすましとは、攻撃者が他人または他のシステムを装って不正な行為を行うことを指します。これは、以下のような方法で行われます。

  • ユーザー認証情報の不正取得:他人のユーザーIDやパスワードを盗み取り、その人物になりすましてシステムにアクセスします。
  • システムやデバイスの偽装:ネットワーク上で特定のIPアドレスやMACアドレスを偽装し、他のデバイスになりすまします。
  • 電子メールやウェブサイトの偽装:信頼できる組織や個人を装ったメールやウェブサイトを作成し、ユーザーを騙して情報を入力させます。

なりすましの目的:

  • 情報の窃取:機密情報や個人情報を取得する。
  • 不正アクセス:システムやネットワークに侵入し、データを改ざん、削除、または盗む。
  • サービスの妨害:システムの正常な動作を妨げ、業務に支障をきたす。

1.12.2 ユーザーIDやパスワードの偽装

ユーザーIDやパスワードの偽装は、攻撃者が他人の認証情報を不正に取得し、そのユーザーになりすましてシステムにアクセスする手法です。

主な手法:

  • フィッシング攻撃:偽のメールやウェブサイトを使用して、ユーザーに認証情報を入力させる。
  • キーロガーの使用:キーボード入力を記録するマルウェアをインストールし、パスワードを取得。
  • ソーシャルエンジニアリング:人間の心理的な弱点を突いて、直接ユーザーから情報を引き出す。
  • パスワードリスト攻撃:他のサービスで漏洩したパスワードを使ってログインを試みる(パスワードの使い回しを狙う)。

対策:

  • 二要素認証の導入:パスワードに加えて、ワンタイムパスワードや生体認証を使用する。
  • パスワードポリシーの強化:複雑で長いパスワードの使用と定期的な変更を促す。
  • セキュリティ教育の実施:従業員やユーザーに対して、フィッシングやソーシャルエンジニアリングのリスクを周知。

1.12.3 IPスプーフィング

**IPスプーフィング(IP Spoofing)**は、攻撃者が送信元IPアドレスを偽装してパケットを送信し、他のシステムになりすます攻撃手法です。

攻撃の仕組み:

  • 送信元IPアドレスの偽装:パケットのヘッダー情報を変更し、信頼できるIPアドレスを装う。
  • なりすまし通信の実行:偽装したIPアドレスでターゲットにパケットを送り、不正な操作を行う。

主な攻撃目的:

  • アクセス制御の回避:IPアドレスベースのアクセス制御を突破する。
  • サービス妨害(DoS攻撃):大量の偽装パケットを送りつけ、システムを過負荷状態にする。
  • 信頼関係の悪用:信頼できるIPアドレスからの通信として処理されるため、セキュリティ対策をすり抜ける。

対策:

  • パケットフィルタリングの強化:ファイアウォールで異常な送信元IPアドレスをブロック。
  • 入出力インタフェースのフィルタリング:ルーターで内部から外部へのパケットに対して送信元アドレスの検証を行う(Egressフィルタリング)。
  • 信頼性の高い認証プロトコルの使用:IPアドレス以外の認証要素を用いる。

1.12.4 踏み台

**踏み台(Stepping Stone)**は、攻撃者が第三者のシステムを経由して攻撃を行う手法です。これにより、攻撃者の実際の所在地やIPアドレスを隠蔽し、追跡を困難にします。

踏み台の利用方法:

  • 不正アクセスによる乗っ取り:脆弱なシステムやセキュリティ対策が不十分なサーバーに侵入し、コントロールを奪う。
  • 匿名プロキシの利用:匿名性を提供するプロキシサーバーを経由して通信。
  • ボットネットの活用:ウイルスやマルウェアに感染した多数のコンピューター(ゾンビマシン)を利用して攻撃を実行。

踏み台攻撃の目的:

  • 匿名性の確保:攻撃者の追跡を困難にし、捜査を妨げる。
  • 攻撃規模の拡大:多数の踏み台を利用することで、攻撃の威力を増大させる。

対策:

  • システムのセキュリティ強化:最新のセキュリティパッチの適用、不要なサービスの停止。
  • 侵入検知システム(IDS)の導入:不審な通信や異常な挙動を検知し、アラートを発生。
  • ログの監視と分析:システムログを定期的に確認し、不審なアクセスを早期に発見。

まとめ

なりすましは、情報セキュリティにおいて深刻な脅威であり、様々な手法で攻撃が行われます。ユーザーIDやパスワードの偽装、IPスプーフィング、踏み台の利用など、それぞれに対する適切な対策が求められます。組織や個人がセキュリティ意識を高め、技術的な防御策を講じることで、なりすましのリスクを大幅に低減できます。

公開: 2024-09-24 更新: 2024-09-24