ウェブセキュリティのリスクと脆弱性:XSS、SQLインジェクション、CSRFの包括的解説 | 第3章: セキュリティリスクと脆弱性

クロスサイトスクリプティング
XSS
SQLインジェクション
クロスサイトリクエストフォージェリ
CSRF
ウェブセキュリティ
脆弱性対策
セキュリティベストプラクティス
データベースセキュリティ

第3章では、ウェブセキュリティの三大脆弱性:XSS、SQLインジェクション、CSRFについて深く掘り下げます。これらの一般的な攻撃の仕組みと影響を理解し、それらを防ぐための具体的な対策とベストプラクティスを学びます。この知識は、ウェブアプリケーションをより安全に保つための重要な基盤となります。

3.1 クロスサイトスクリプティング(XSS)

このセクションでは、ウェブセキュリティの中でも特に一般的な脅威であるクロスサイトスクリプティング(XSS)について詳しく説明します。XSS攻撃の仕組み、異なるタイプのXSS攻撃(反射型、保存型、DOMベース型)とその影響、そしてこれらの攻撃を防ぐためのベストプラクティスと対策に焦点を当てます。特に、入力の検証とサニタイズ、セキュリティポリシーの実施などの対策を詳述します。

3.2 SQLインジェクション

SQLインジェクションは、不正なSQLクエリをデータベースに注入し、データの漏洩や改ざんを引き起こす攻撃です。このセクションでは、SQLインジェクション攻撃の概要、攻撃方法、そしてデータベースシステムへの影響について解説します。また、攻撃を防ぐための対策、例えば、パラメータ化されたクエリ、入力の検証、エラーメッセージの管理などについても詳しく説明します。

3.3 クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)

CSRFは、ユーザーが知らないうちに悪意のある操作を行わせる攻撃です。このセクションでは、CSRF攻撃のメカニズムとその影響、特にセッション管理とユーザー認証に関するセキュリティ上の脆弱性について解説します。CSRFトークンや同一オリジンポリシーの適用など、CSRF攻撃を防ぐための効果的な手法についても詳しく説明します。


この記事は「ウェブサイトとサービスのためのセキュリティ原則と実践 | 安全なサイトとサービス I (初級編)」の一部になっています。


下記期間限定公開コンテンツ

こんにちは、皆さん。今日の授業では、ウェブセキュリティの三大脆弱性について学びます。特に、第3章では「クロスサイトスクリプティング(XSS)」、「SQLインジェクション」、「クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)」の3つの重要なセキュリティリスクに焦点を当てます。これらはウェブアプリケーションのセキュリティにおいて最も一般的で深刻な脅威です。私たちは、これらの攻撃の仕組み、影響、そしてそれらを防ぐための具体的な対策を詳しく見ていきます。まずは、XSS攻撃から始めましょう。

第3章「ウェブセキュリティの三大脆弱性」のセクション3.1「クロスサイトスクリプティング(XSS)」では、ウェブセキュリティにおける重要な脅威の一つであるXSSに焦点を当てています。このセクションの詳細は以下の通りです:

3.1 クロスサイトスクリプティング(XSS)

XSS攻撃の仕組み

  • XSS攻撃は、悪意のあるスクリプトをウェブページに注入し、他のユーザーのブラウザで実行させる攻撃です。
  • この攻撃は、ウェブアプリケーションがユーザーからの入力を適切に処理しないときに発生します。

XSS攻撃のタイプ

  • 反射型XSS: このタイプのXSSは、ユーザーが提供したデータを即座にウェブページに反映することで発生します。
  • 保存型XSS: 攻撃者が悪意のあるスクリプトをウェブアプリケーションのデータベースに保存し、その後他のユーザーがそのページを閲覧する際に実行されます。
  • DOMベース型XSS: この攻撃は、ウェブアプリケーションのクライアントサイドスクリプト内で発生し、DOM(Document Object Model)の変更を通じて実行されます。

XSS攻撃の防止策

  • 入力の検証とサニタイズ: ユーザーからの入力を適切に検証し、危険なコードを削除または無害化します。
  • セキュリティポリシーの実施: Content Security Policy (CSP) などのセキュリティポリシーを適用して、ブラウザ上での不正なスクリプト実行を防ぎます。
  • エスケープ処理: ユーザーからの入力をウェブページに表示する際、特殊文字を安全な形式に変換します。

XSS攻撃の仕組みを理解し、これらの攻撃を防ぐための対策を講じることは、ウェブアプリケーションのセキュリティを確保する上で不可欠です。このセクションでは、XSS攻撃を詳細に解説し、それらに対処するためのベストプラクティスを提供します。

XSS攻撃は、攻撃者が悪意のあるスクリプトをウェブページに注入し、他のユーザーのブラウザで実行させる攻撃です。これは主にウェブアプリケーションがユーザーからの入力を適切に処理しない場合に発生します。

XSS攻撃の例えとして、あるソーシャルネットワーキングサービスで発生するかもしれない事象を考えてみましょう。この事件では、攻撃者がコメント欄にJavaScriptコードを注入します。ユーザーがそのコメントを含むページを閲覧すると、注入されたスクリプトがブラウザで実行されるようにします。

このスクリプトは、訪問者のクッキー情報を攻撃者に送信するよう設計されていて。クッキーには、セッションIDやログイン情報など、ユーザーを識別するための重要なデータが含まれていることが多いため、この情報を手に入れることで攻撃者はユーザーのアカウントを乗っ取ることが可能としました。

この攻撃により、多数のユーザーのアカウントが侵害され、プライベートな情報が漏洩したり、不正な操作が行われ、さらに、攻撃者はこれらのアカウントを利用してスパムメッセージを拡散するなど、さらなる被害を引き起こしました。

この事件は、ウェブアプリケーションがユーザーからの入力を適切に検証およびサニタイズしなかったことが原因で発生してしまう事例です。ウェブサイト運営者は後にセキュリティ対策を強化し、同様の攻撃を防ぐための措置を講じる必要があります。この事象のビジネスインパクトは大きく、このSNSから離脱していくユーザーを食い止めることは容易ではないことが想像できます。

実際におきた事象はネット上調べるとでてきますが、例えば、ブリティッシュ・エアウェイズ (2018年): XSSの脆弱性を悪用して、顧客データを不正に収集する攻撃。フォートナイト (2019年): 人気のオンラインゲームでXSSの脆弱性が発見され、200万人以上のユーザーに影響。eBay (2015-2016年): XSSの脆弱性により、商品リストを操作し、支払い情報を盗む攻撃が発生。マイスペース (2005年): XSSを利用した「サミー・ワーム」という迅速な攻撃があり、100万以上のプロフィールに影響。フェイスブック (2011年): 短期間に3回のXSSの脆弱性が発見され、ウイルスリンクやフィッシング攻撃が広がる。CIA (中央情報局): インドのハッカーによるXSSの攻撃があり、CIAのウェブサイトが一時的にダウン、などがあります。

このようなことが起きないように、XSS攻撃の詳細と対策を見てみましょう。

XSS攻撃にはいくつかのタイプがありますが、主なものには反射型XSS、保存型XSS、DOMベース型XSSがあります。

反射型XSSは、攻撃者が作成したリンクをクリックすることにより、ユーザーが送信した悪意のあるスクリプトがサーバーに送信され、そのままユーザーのブラウザに戻されて実行されます。たとえば、 ウェブサイトの検索機能において、検索語句としてスクリプトを入力し、その結果ページにスクリプトが反映される、などです。

このタイプの攻撃では、攻撃者は悪意のあるスクリプトを含むURLを作成し、何らかの方法でユーザーにクリックさせます。ウェブアプリケーションがユーザーの入力を適切にサニタイズせずにウェブページに反映することで、スクリプトが実行される可能性があります。

例えば、ウェブサイトがユーザーの検索クエリをサニタイズせずに結果ページに表示する場合、以下のようなURLが攻撃に使用される可能性があります。

http://example.com/search?query=<script>alert('XSS')</script>

このURLには、検索クエリパラメータとしてJavaScriptのalert関数を含むスクリプトが埋め込まれています。ユーザーがこのリンクをクリックすると、サイトは検索結果ページでクエリをそのまま表示し、ブラウザは`script`タグ内のJavaScriptコードを実行します。この例では、単純なアラートボックスが表示されますが、より複雑なスクリプトを使用してユーザーのセッションデータを盗んだり、他の悪意のある行動を取ることも可能です。

保存型XSSは、攻撃者がウェブアプリケーションのデータベースに悪意のあるスクリプトを保存し、他のユーザーがそのページを表示する際にスクリプトが実行されます。例えば、コメント欄や掲示板にスクリプトを含む投稿をすることにより、そのページを表示する全てのユーザーに対してスクリプトが実行される、などです。

このタイプの攻撃では、攻撃者は悪意のあるスクリプトをウェブアプリケーションのデータベースに保存します。通常、このスクリプトはフォーラムの投稿、コメント、またはユーザープロフィール情報などの形で注入されます。保存されたスクリプトは、他のユーザーが対象のページを閲覧する際に実行されます。

例えば、攻撃者がコメント欄に以下のようなスクリプトを投稿します。

<script type="text/javascript">
    alert('XSS');
</script>

このスクリプトは、コメントとしてウェブアプリケーションのデータベースに保存されます。他のユーザーがコメントが表示されるページを閲覧すると、保存されたスクリプトがブラウザで実行され、この場合はアラートボックスが表示されます。

本来であれば、ウェブアプリケーションはユーザーからの入力を受け取る際に、JavaScriptコードや他の潜在的に危険な内容をサニタイズする必要があります。保存型XSS攻撃を防ぐためには、特にデータをデータベースに保存する前と、それをウェブページに表示する際に、適切なサニタイズ処理を行うことが重要です。

DOMベース型XSSは、ウェブアプリケーションのクライアントサイド(JavaScript)で発生し、DOMの構造を変更することによって実行されます。例えば、URLのフラグメント(#以降の部分)にスクリプトを含めることにより、ページ内のJavaScriptがそのスクリプトを読み込んで実行する、などです。

このタイプの攻撃は、ウェブページのクライアントサイドで発生します。攻撃者は、ウェブページのDocument Object Model(DOM)に対して悪意のある変更を行います。この攻撃は、ウェブアプリケーションがユーザーからの入力を適切にサニタイズしない場合に発生しやすいです。

例えば、攻撃者は、ウェブアプリケーションがURLのクエリパラメータをDOMに直接書き込むような場合にこの攻撃を利用します。

// URL: http://example.com/page.html?userinput=<script>alert('XSS')</script>

var userinput = new URLSearchParams(window.location.search).get('userinput');
document.getElementById('output').innerHTML = userinput;

この例では、ウェブページのURLのクエリパラメータuserinputから値を取得し、それをページの特定の要素に直接挿入しています。攻撃者が悪意のあるスクリプトをuserinputパラメータに挿入すると、そのスクリプトはウェブページ上で実行されます。この場合、

<script>alert('XSS')</script>

が実行され、アラートボックスが表示されます。

DOMベース型XSS攻撃を防ぐためには、ウェブアプリケーションがユーザーからの入力をDOMに挿入する前に、適切なサニタイズやエスケープ処理を行う必要があります。また、ウェブアプリケーションのクライアントサイドJavaScriptの安全性にも注意を払う必要があります。

XSS攻撃を防ぐためには、まず、ユーザーからの入力を適切に検証し、危険なコードを削除または無害化すること。次に、セキュリティポリシーを実施して、ブラウザ上での不正なスクリプト実行を防ぐことです。これにはContent Security Policy(CSP)などが有効です。また、ユーザーからの入力をウェブページに表示する際には、特殊文字を安全な形式に変換するエスケープ処理が必要です。

以上のように、XSS攻撃の仕組みを理解し、これらの攻撃を防ぐための対策を講じることは、ウェブアプリケーションのセキュリティを確保する上で不可欠です。

3.2 SQLインジェクション

第3章「ウェブセキュリティの三大脆弱性」のセクション3.2「SQLインジェクション」は、ウェブアプリケーションのセキュリティにおいて一般的かつ深刻な脅威であるSQLインジェクション攻撃に焦点を当てています。このセクションの詳細は以下の通りです:

SQLインジェクション攻撃の概要

  • SQLインジェクション攻撃は、攻撃者が不正なSQLクエリをウェブアプリケーションを通じてデータベースに送信し、データベースの内容を読み取ったり、変更したり、損害を与えたりする攻撃です。
  • この攻撃は、ウェブアプリケーションがユーザーからの入力をデータベースクエリに直接組み込む際に発生します。

SQLインジェクション攻撃の影響

  • SQLインジェクションによって、機密情報の漏洩、データの改ざんや破壊、管理者権限の不正取得などが発生する可能性があります。
  • この攻撃は、ウェブアプリケーションの信頼性と整合性を損なう重大なセキュリティリスクです。

SQLインジェクション攻撃を防ぐための対策

  • パラメータ化されたクエリ: 攻撃者が不正な入力をクエリに注入できないように、クエリに変数を埋め込む代わりにパラメータを使用します。
  • 入力の検証: ユーザーからの入力を適切に検証し、SQLコマンドとして解釈される可能性のある文字を排除または無害化します。
  • エラーメッセージの管理: データベースのエラーメッセージをユーザーにそのまま表示せず、潜在的な情報漏洩を防ぎます。
  • 最小限の権限の原則: アプリケーションがデータベースにアクセスする際に、必要最小限の権限のみを付与します。

このセクションでは、SQLインジェクション攻撃の仕組みと影響について詳しく解説し、それらを防ぐためのベストプラクティスと具体的な対策を提供します。これにより、ウェブアプリケーションをより安全に保ち、機密データを保護することが可能になります。

SQLインジェクションは、攻撃者が不正なSQLクエリをデータベースに注入し、重要なデータを漏洩させたり改ざんしたりする攻撃です。この攻撃は、ウェブアプリケーションがユーザーの入力を適切に処理しない場合に発生します。

例えば、ある企業のウェブサイトにて、攻撃者はログインフォームに悪意のあるSQLクエリを入力し、データベースからユーザー情報を盗み出すようなケースを想定してみます。

対象を企業のウェブサイトのログインフォームとします。攻撃者はログインフォームのユーザー名やパスワード入力欄に悪意のあるSQLクエリを入力します。そして、 データベースからユーザー情報を盗み出します。

まず、攻撃者は、対象のウェブサイトのログインフォームがデータベースクエリに直接ユーザー入力を組み込んでいることを見つけ出す必要があります。攻撃者は、ユーザー名またはパスワードのフィールドに、SQLコマンドを注入するための特別な文字列を入力します。例えば、ユーザー名のフィールドに ' OR '1'='1 と入力。攻撃者はログイン機能が使用するSQLクエリを変更し、常に真となる条件を作成します。この攻撃により、攻撃者は認証をバイパスしてシステムにアクセスできるようになります。攻撃者はデータベースに格納されている機密情報、例えばユーザーの個人情報やクレジットカード情報などにアクセスできるようになってしまいます。

このような攻撃を防ぐためには、以下の対策が必要です。まず、パラメータ化されたクエリの使用: SQLクエリにおいてユーザー入力をパラメータとして扱うことで、SQLインジェクション攻撃を防ぎます。次に入力の検証とサニタイズ: ユーザーからの入力に対する厳格な検証とサニタイズを行います。最後に、エラーメッセージの制限: エラーメッセージを一般的なものにして、攻撃者にシステム情報を漏らさないようにします。

SQLインジェクション攻撃は、ウェブアプリケーションに対する深刻な脅威です。過去には、多くの大規模なデータ漏洩事案がこの攻撃手法によって発生しています。一部の注目すべき事例を以下に紹介します。

GhostShell攻撃: Team GhostShellというAPTグループが53の大学を対象にSQLインジェクション攻撃を実施し、学生、教員、スタッフの36,000件の個人記録を盗み出し、公開しました​​。トルコ政府のウェブサイト: RedHackという別のAPTグループがSQLインジェクションを使用してトルコ政府のウェブサイトに侵入し、政府機関への借金情報を消去しました​​。7-Elevenのデータ漏洩: SQLインジェクション攻撃により、7-Elevenを含む複数の企業のシステムが侵入され、1億3000万件以上のクレジットカード番号が盗まれました​​。HBGaryのウェブサイト攻撃: Anonymous活動家グループに関連するハッカーがSQLインジェクションを利用して、ITセキュリティ会社HBGaryのウェブサイトを攻撃しました。

れらの事例からわかるように、SQLインジェクション攻撃は、機密情報の盗難やデータの破壊につながることがあり、企業や組織にとって大きな脅威となります。また、攻撃者による持続的なシステム侵入や、長期にわたるデータ漏洩にもつながり得ます​​​​。

3.3 クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)

第3章「ウェブセキュリティの三大脆弱性」のセクション3.3「クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)」は、ウェブアプリケーションのセキュリティにおいて重要なトピックです。このセクションの詳細は以下の通りです:

CSRF攻撃のメカニズム

  • CSRF攻撃は、攻撃者が悪意あるリクエストをユーザーのブラウザを通じて送信し、ユーザーが気付かないうちに信頼できるウェブサイト上で意図しない操作を行わせるものです。
  • この攻撃は、ユーザーが認証されたセッション中に別のタブやウィンドウで攻撃者が用意した悪意のあるウェブサイトにアクセスした際に発生します。

CSRF攻撃の影響

  • CSRF攻撃により、ユーザーは知らないうちに重要な操作(例えば、パスワード変更、金融取引)を実行してしまう可能性があります。
  • これによって、ユーザーのセキュリティやプライバシーが脅かされるだけでなく、サービスの信頼性も損なわれます。

CSRF攻撃を防ぐための対策

  • CSRFトークン: 各フォーム送信時に一意のトークンを生成し、サーバー側でそのトークンを検証することで、正当なリクエストのみを受け入れます。
  • 同一オリジンポリシーの適用: ウェブブラウザが異なるオリジンからのリクエストを制限することで、悪意のあるサイトからのリクエストをブロックします。
  • セッション管理の強化: セッションのセキュリティを強化し、ユーザーがログアウトした後にセッションIDを無効化することで、攻撃者が古いセッションIDを利用することを防ぎます。

このセクションでは、CSRF攻撃の仕組みと影響について詳しく解説し、それを防ぐための具体的な手法とベストプラクティスを提供します。これにより、ウェブアプリケーションのセキュリティを向上させ、ユーザーの安全を保護することが可能になります。

CSRF攻撃は、ウェブアプリケーションに対する一般的な脅威です。これは、ユーザーが自覚していないうちに重要な操作を実行してしまう危険性を持っています。たとえば、攻撃者はユーザーがログインしている状態で、背後で重要な操作を強制的に行わせることができます。これにより、ユーザーのプライバシーやセキュリティが脅かされ、サービスの信頼性にも影響を与えます。

このセクションでは、CSRF攻撃の仕組みとその影響について深く掘り下げ、防御策とベストプラクティスを見てみます。これにより、私たちはウェブアプリケーションのセキュリティを強化し、ユーザーの安全を守るための知識を得ることができます。

CSRF攻撃は、攻撃者が被害者をだまして、被害者が意図しないアクションをウェブアプリケーション上で実行させるものです。これにより、攻撃者は権限のあるアクションを被害者に代わって実行できます。

攻撃者は、被害者が認証されているウェブサイト上でアクションを強制的に実行させるために、悪意のあるリンクやフォームを作成します。例えば、攻撃者はメールやメッセージに偽のリンクを含め、被害者がクリックすると被害者のブラウザを通じて悪意のあるリクエストが送信されます。

CSRF攻撃が成功するためには、被害者が攻撃者が意図したウェブサイトにログイン状態であることが必要です。被害者がリンクをクリックしたり、悪意のあるフォームを送信したりすると、被害者の認証情報を使用してリクエストが送信されます。

CSRF攻撃により、攻撃者は被害者のアカウントで設定変更、金融取引、パスワード変更などのアクションを実行できます。これにより、プライバシーやセキュリティに重大な影響を及ぼす可能性があります。

では、CSRF攻撃を防ぐための対策にはどのようなものがあるのでしょうか。最も一般的な方法の一つが、CSRFトークンの使用です。これは、各フォーム送信時に一意のトークンを生成し、サーバー側でそのトークンを検証することで、正当なリクエストのみを受け入れる方法です。また、同一オリジンポリシーを適用することで、異なるオリジンからのリクエストを制限し、悪意のあるサイトからのリクエストをブロックすることができます。さらに、セッション管理を強化し、ユーザーがログアウトした後にセッションIDを無効化することで、攻撃者が古いセッションIDを利用することを防ぐことが重要です。

一部実例を見てみましょう。CSRF(Cross-Site Request Forgery)トークンの使用は、ウェブアプリケーションのセキュリティを強化するための一般的な方法です。具体的な実例としては、以下のステップでCSRFトークンを使用することが考えられます:

1.トークンの生成と送信:サーバー側でユニークなトークンを生成します。このトークンは予測不可能でなければなりません。サーバーはこのトークンを、フォームを含むレスポンスと共にクライアント(ブラウザ)に送信します。トークンは通常、隠しフォームフィールドとして送信されます。

2. クライアント側でのトークンの使用:ユーザーがフォームを送信するとき、フォームデータと一緒にCSRFトークンもサーバーに送信されます。

3. サーバー側でのトークンの検証:サーバーは受け取ったリクエストに含まれるCSRFトークンを検証します。トークンが正しく、サーバーが以前に送信したものと一致する場合のみ、リクエストを受理します。

4. トークンの使い捨て: リクエストごとに新しいトークンを生成し、使い捨てることが一般的です。これにより、トークンの再利用を防ぎます。

実際のコード例(HTMLとPHPを使用):

<!-- HTMLフォーム -->
<form method="post" action="submit.php">
    <!-- ... 他のフォームフィールド ... -->
    <input type="hidden" name="csrf_token" value="<?php echo $_SESSION['csrf_token']; ?>">
    <input type="submit" value="送信">
</form>
<?php
// PHPでのトークン生成と検証
session_start();

// トークンの生成
if (!isset($_SESSION['csrf_token'])) {
    $_SESSION['csrf_token'] = bin2hex(random_bytes(32));
}

// フォームが送信されたときのトークン検証
if ($_SERVER['REQUEST_METHOD'] === 'POST') {
    if (!isset($_POST['csrf_token']) || $_POST['csrf_token'] !== $_SESSION['csrf_token']) {
        die('CSRFトークンの検証に失敗しました。');
    }
    // トークンが正しい場合、ここでリクエストを処理
    // ...
}
?>

このコード例では、セッションを使用してCSRFトークンを生成し、フォームと共にクライアントに送信しています。フォームが送信されると、サーバー側でトークンが検証され、一致しない場合はリクエストを拒否します。

今日のセクションでは、XSS、SQLインジェクション、CSRFというウェブセキュリティの三大脆弱性について深く掘り下げました。これらの攻撃は、ウェブアプリケーションに対して深刻なリスクをもたらし、ユーザーのプライバシーやセキュリティに重大な影響を与える可能性があります。私たちは、これらの攻撃を理解し、適切なセキュリティ対策を講じることで、より安全なウェブアプリケーションを構築することができます。これらの知識を活用し、日々の開発やセキュリティ対策に役立ててください。

1. クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃の主なタイプはどれですか?

  1. 反射型XSS
  2. 保存型XSS
  3. DOMベース型XSS
  4. すべての上記

回答: 4. すべての上記

解説: XSS攻撃には三つの主なタイプがあります。反射型XSSはユーザーの入力が即座にウェブページに反映される場合に発生します。保存型XSSは攻撃者のスクリプトがウェブアプリケーションのデータベースに保存され、そのページを閲覧するユーザーに対して実行されます。DOMベース型XSSはウェブアプリケーションのクライアントサイドスクリプトで発生し、DOMの変更を通じて実行されます。

2. SQLインジェクション攻撃を防ぐために最も推奨される方法はどれですか?

  1. エラーメッセージの詳細表示
  2. パラメータ化されたクエリ
  3. データベースのバージョンアップ
  4. 入力フィールドのサイズ制限

回答: 2. パラメータ化されたクエリ

解説: パラメータ化されたクエリは、SQLインジェクション攻撃を防ぐ最も効果的な方法の一つです。これにより、ユーザー入力がSQLクエリの一部として直接組み込まれるのを防ぎ、攻撃者が不正なSQLコマンドを注入するのを防ぎます。

3. CSRF攻撃を防ぐために一般的に使用されるのは何ですか?

  1. セッショントークン
  2. マルチファクタ認証
  3. CSRFトークン
  4. キャプチャ

回答: 3. CSRFトークン

解説: CSRFトークンは、フォーム送信時にサーバー側で生成され、フォームと一緒にクライアントに送信されます。クライアントがフォームを送信する際にこのトークンも一緒に送り返すことで、サーバーはリクエストが正当なものかどうかを検証できます。

4. XSS攻撃において、攻撃者は何をウェブページに注入しますか?

  1. データベースクエリ
  2. 悪意のあるスクリプト
  3. 不正なリンク
  4. ウイルス

回答: 2. 悪意のあるスクリプト

解説: XSS攻撃では、攻撃者は悪意のあるスクリプトをウェブページに注入します。これにより、他のユーザーのブラウザでそのスクリプトが実行され、セキュリティ上のリスクが生じます。

5. SQLインジェクション攻撃の主な影響は何ですか?

  1. ユーザーインターフェースの変更
  2. ウェブページのパフォーマンス低下
  3. 機密情報の漏洩
  4. ブラウザのクラッシュ

回答: 3. 機密情報の漏洩

解説: SQLインジェクション攻撃の最も深刻な影響の一つは、機密情報の漏洩です。攻撃者は不正なSQLクエリを使用してデータベースにアクセスし、機密データを読み取ったり改ざんしたりすることが可能になります。

公開: 2023-12-18 更新: 2024-01-20