1.14 ウェブシステムへの攻撃手法と対策:Webビーコン、フィッシング、ファーミング、MITB攻撃を解説

ウェブシステム
Webビーコン
フィッシング
ファーミング
MITB
Man-In-The-Browser
情報セキュリティ
セキュリティ対策
サイバー攻撃
個人情報保護

1.14 Webシステムへの攻撃

ウェブシステムは、ビジネスや個人の活動において欠かせない存在となっていますが、その一方でさまざまな攻撃の対象ともなっています。本セクションでは、ウェブシステムに対する代表的な攻撃手法と、その対策について詳しく解説します。

1.14.1 Webビーコン

**Webビーコン(ウェブビーコン)**は、ウェブページやメールに埋め込まれた小さな画像やコード片で、ユーザーの行動を追跡・記録するために使用されます。通常、1ピクセルの透明な画像として実装され、ユーザーには見えません。

主な目的:

  • アクセス解析: ページの閲覧数や訪問者の行動パターンを把握する。
  • 広告効果測定: 広告のクリック率やコンバージョン率を追跡。
  • メール開封確認: メールが開封されたかどうかを確認。

セキュリティ上の懸念:

  • プライバシーの侵害: ユーザーの行動が無断で追跡される可能性。
  • 情報漏洩: 不適切に設置されたWebビーコンが個人情報を収集。

対策:

  • ブラウザ設定の確認: サードパーティのクッキーやトラッキングをブロック。
  • 拡張機能の利用: 広告ブロッカーやプライバシー保護ツールを導入。
  • メール設定の調整: メールソフトで画像の自動表示を無効化。

1.14.2 フィッシング

**フィッシング(Phishing)**は、信頼できる組織やサービスを装ったメールやウェブサイトを使用して、ユーザーから機密情報(パスワード、クレジットカード情報など)を詐取する攻撃手法です。

攻撃の仕組み:

  1. 偽のメール送信: 銀行やオンラインサービスを装ったメールをユーザーに送信。
  2. 偽サイトへの誘導: メール内のリンクから偽のログインページへ誘導。
  3. 情報の入力: ユーザーが偽サイトに認証情報を入力。
  4. 情報の窃取: 攻撃者が入力された情報を取得。

影響:

  • 個人情報の漏洩: パスワードや金融情報が盗まれる。
  • 不正取引の発生: 盗まれた情報を使って不正な取引やアクセスが行われる。

対策:

  • メールの慎重な確認: 送信元アドレスやメールの内容を注意深くチェック。
  • 公式サイトからのアクセス: リンクをクリックせず、ブックマークや検索から公式サイトへアクセス。
  • セキュリティソフトの導入: フィッシング対策機能を持つソフトを使用。

1.14.3 ファーミング

**ファーミング(Pharming)**は、DNS(ドメインネームシステム)の設定を改ざんすることで、正規のウェブサイトへのアクセスを偽サイトに誘導する攻撃手法です。

攻撃の仕組み:

  • DNSキャッシュポイズニング: DNSサーバーのキャッシュ情報を不正に書き換え、ドメイン名とIPアドレスの対応を変更。
  • ホストファイルの改ざん: ユーザーのPC内のホストファイルを変更し、特定のドメインへのアクセスを偽サイトにリダイレクト。

影響:

  • 偽サイトへの誘導: ユーザーが正規のURLを入力しても、偽サイトにアクセスしてしまう。
  • 情報の窃取: フィッシングと同様に、機密情報が盗まれる。

対策:

  • DNSサーバーのセキュリティ強化: DNSSECの導入やアクセス制限。
  • アンチウイルスソフトの利用: マルウェアによるホストファイル改ざんを防止。
  • HTTPSの確認: SSL/TLS証明書の正当性を確認。

1.14.4 MITB(Man-In-The-Browser)

MITB(Man-In-The-Browser)攻撃は、ユーザーのブラウザにマルウェアを感染させ、ブラウザ上で行われる通信や操作を乗っ取る攻撃手法です。

攻撃の仕組み:

  1. マルウェア感染: ユーザーが感染サイトを訪問したり、添付ファイルを開くことでマルウェアがブラウザに侵入。
  2. ブラウザの制御: マルウェアがブラウザのプロセスを監視・改ざん。
  3. 情報の盗難や操作の改ざん: 入力データの取得、画面内容の変更、トランザクションの書き換え。

影響:

  • 機密情報の漏洩: パスワードや金融情報が盗まれる。
  • 不正取引の実行: ユーザーが意図しない操作が行われる。

対策:

  • セキュリティソフトの導入と更新: 最新の定義ファイルでマルウェアを検出・除去。
  • ブラウザのセキュリティ設定強化: スクリプトやプラグインの制限。
  • OSとブラウザの更新: 最新のセキュリティパッチを適用。

まとめ

ウェブシステムへの攻撃は多様であり、ユーザーや組織に重大な被害をもたらす可能性があります。Webビーコンによる追跡から、フィッシングやファーミング、MITB攻撃まで、それぞれの手法を理解し、適切な対策を講じることが重要です。セキュリティ意識を高め、技術的な防御策を実施することで、これらの脅威から自身と組織を守ることができます。

公開: 2024-09-24 更新: 2024-09-24