1.11 盗聴の手口と対策を徹底解説:スニファ、サイドチャネル攻撃、電波傍受、キーロガーとは

盗聴
スニファ
サイドチャネル攻撃
電波傍受
キーロガー
情報セキュリティ
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マルウェア
セキュリティ対策

1.11 盗聴

盗聴は、通信内容や情報のやり取りを当事者の許可なく傍受し、機密情報や個人情報を取得する行為を指します。攻撃者は様々な手法を用いて通信を盗み見し、不正アクセスや情報漏洩などのリスクを高めます。このセクションでは、盗聴の概念と主要な手法について詳しく解説します。

1.11.1 盗聴とは

盗聴とは、通信やデータのやり取りを当事者の許可なく傍受し、その内容を取得または解析する行為です。これはプライバシーの侵害であり、法律によって禁止されています。盗聴の対象となる通信は多岐にわたり、音声通話、メール、データ通信、無線通信などが含まれます。

盗聴の目的:

  • 機密情報の窃取:企業の秘密情報や個人のプライバシー情報を取得する。
  • 不正アクセスの準備:盗聴した情報をもとにシステムへの不正侵入を試みる。
  • 金融詐欺:銀行口座情報やクレジットカード情報を取得し、不正な取引を行う。

影響:

  • 情報漏洩:個人情報や機密情報が第三者に渡る。
  • 経済的損失:金融情報の流出による金銭的被害。
  • 信頼の損失:企業や組織の信用が低下する。

1.11.2 スニファ

**スニファ(Sniffer)**は、ネットワーク上を流れるデータパケットを傍受・解析するためのツールやソフトウェアを指します。本来、ネットワーク管理者がトラブルシューティングやパフォーマンスの監視に使用しますが、悪意のある攻撃者が不正に利用すると、通信内容を盗み見られる危険性があります。

スニファの主な特徴:

  • パケットの捕捉と解析:ネットワークインターフェースをプロミスキャスモードに設定し、全てのパケットを取得。
  • プロトコルの理解:HTTP、FTP、SMTPなど各種プロトコルの通信内容を解析可能。
  • 平文通信の危険性:暗号化されていない通信は容易に内容を閲覧される。

対策:

  • 通信の暗号化:HTTPSやSSHなどの暗号化プロトコルを使用。
  • ネットワークのセグメント化:VLANの活用やスイッチングハブの使用で盗聴を困難にする。
  • 侵入検知システム(IDS)の導入:不審なパケットを検知し、アラートを発生。

1.11.3 サイドチャネル攻撃

**サイドチャネル攻撃(Side-Channel Attack)**は、暗号化システムやハードウェアが動作する際に発生する副次的な情報(電力消費、電磁放射、処理時間、音響など)を解析し、機密情報を推測する攻撃手法です。

主なサイドチャネル攻撃の種類:

  • 電力解析攻撃:デバイスの電力消費パターンを測定し、暗号鍵を推測。
  • 電磁波解析攻撃:電磁放射を傍受し、内部処理を解析。
  • 時間解析攻撃:処理に要する時間の差異から情報を推測。
  • 音響解析攻撃:デバイスが動作する際の音を解析。

対策:

  • ランダム性の導入:処理時間や電力消費にランダムな変動を加える。
  • 物理的なシールド:電磁波や音響を遮断するシールドを設置。
  • 定数時間アルゴリズムの採用:処理時間が一定となるようなアルゴリズムを使用。

1.11.4 電波傍受

電波傍受は、無線通信(Wi-Fi、Bluetooth、RFIDなど)を傍受し、通信内容を取得する攻撃手法です。無線通信は物理的な接続が不要なため、攻撃者が通信範囲内に入るだけで傍受が可能となります。

電波傍受のリスク:

  • Wi-Fi通信の盗聴:暗号化されていないWi-Fiネットワークは容易に盗聴される。
  • Bluetoothの脆弱性:ペアリングの不備により、不正接続や情報漏洩のリスク。
  • RFIDのスキミング:ICカードから情報を不正に読み取る。

対策:

  • 強力な暗号化プロトコルの使用:WPA3など最新のセキュリティ規格を採用。
  • デバイスのセキュリティ設定:不要なときは無線機能をオフにする。
  • 物理的な防御:重要なエリアでは電波遮蔽フィルムを使用。

1.11.5 キーボードロギング

**キーボードロギング(Keylogging)**は、ユーザーのキー入力を記録し、パスワードやクレジットカード情報などの機密情報を取得する攻撃手法です。キーロガーはソフトウェア型とハードウェア型が存在し、いずれも被害者に気付かれずに情報を収集します。

キーロガーの種類:

  • ソフトウェア型キーロガー:マルウェアとしてコンピュータにインストールされ、キー入力を記録。
  • ハードウェア型キーロガー:キーボードとPCの間に物理的に接続し、入力を記録。

対策:

  • セキュリティソフトの導入と更新:最新のウイルス定義でマルウェアを検出。
  • 物理的な確認:キーボード接続部に不審なデバイスがないかチェック。
  • 二要素認証の利用:パスワード以外の認証要素を追加。

まとめ

盗聴は、情報セキュリティにおいて深刻な脅威となります。スニファ、サイドチャネル攻撃、電波傍受、キーボードロギングなど、多様な手法が存在し、それぞれに対する適切な対策が求められます。通信の暗号化、セキュリティ設定の強化、デバイスの物理的な保護など、包括的なセキュリティ対策を実施することで、盗聴のリスクを大幅に低減できます。

公開: 2024-09-24 更新: 2024-09-24