1.3 情報セキュリティの脅威を徹底解説:物理的、技術的、人的脅威とその対策

情報セキュリティ
脅威
物理的脅威
技術的脅威
人的脅威
ランサムウェア
DDoS攻撃
内部犯行
自然災害対策
サイバー攻撃

前のセクション「1.2 リスク」では、情報セキュリティにおけるリスクの概念と、それを構成する情報資産、脅威、脆弱性について詳しく解説しました。リスクを正しく理解し管理することで、情報資産を効果的に保護することが可能になります。

本セクションでは、情報セキュリティにおける脅威の種類について詳しく見ていきます。脅威を理解することは、適切なセキュリティ対策を講じるための第一歩です。

 


 

1.3 脅威の種類

情報セキュリティにおける脅威は、システムや情報資産に損害を与える可能性のあるあらゆる要因を指します。これらの脅威は大きく分けて、物理的脅威、技術的脅威、人的脅威の3種類に分類されます。それぞれに対して適切な対策を講じることが、セキュリティを強化するために不可欠です。

1.3.1 物理的脅威

物理的脅威とは、情報資産やITインフラが物理的に破壊されたり、アクセスされたりすることによって生じるリスクを指します。物理的脅威は、自然災害や不正な物理的アクセス、ハードウェアの故障などが含まれます。

  • 自然災害
    火災、地震、洪水、台風などの自然災害によってデータセンターやオフィスが被害を受ける可能性があります。こうした災害により、サーバーやネットワーク機器が破壊されたり、電源が遮断されたりすることがあり、情報システム全体に大きな影響を及ぼします。

  • 不正アクセス
    悪意を持った第三者がオフィスやデータセンターに物理的に侵入し、サーバーやネットワーク機器に直接アクセスすることで、データを盗んだり破壊したりする脅威です。施設に侵入されることで、機密情報が漏洩するリスクが生じます。

  • ハードウェアの故障
    ハードディスクの故障や電源装置のトラブルなど、物理的な機器の劣化や故障も物理的脅威に該当します。これにより、データの消失やシステムの停止が発生することがあります。

対策としては、施設のセキュリティ強化、監視カメラやバイオメトリクス認証の導入、バックアップの定期的な取得、災害時のデータ復旧計画(ディザスタリカバリ計画)などが挙げられます。

1.3.2 技術的脅威

技術的脅威は、サイバー攻撃やシステムの脆弱性を悪用して情報資産に損害を与えるリスクです。技術的脅威には、マルウェア、ランサムウェア、ネットワーク攻撃などが含まれます。

  • ウイルスやマルウェア
    悪意を持ったプログラムがコンピュータやネットワークに侵入し、データを破壊したり、情報を盗んだりする脅威です。ウイルスはシステムのパフォーマンスを低下させ、重大な障害を引き起こすこともあります。

  • ランサムウェア
    ランサムウェアは、感染したシステムのデータを暗号化し、復旧のために身代金を要求するサイバー攻撃の一種です。近年、特に企業や医療機関を標的にしたランサムウェア攻撃が増加しており、多くの企業が大きな被害を受けています。

  • ネットワーク攻撃(DDoS攻撃など)
    サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)は、標的のサーバーやネットワークに大量のトラフィックを送りつけることでシステムをダウンさせる攻撃です。また、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなど、Webアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃も技術的脅威の一例です。

  • 脆弱なシステム構成
    未更新のソフトウェアや誤った設定によって、システムに脆弱性が生じる場合もあります。これにより、攻撃者が不正にアクセスしたり、データを盗む機会が増えてしまいます。

技術的脅威への対策としては、ファイアウォールの設置、ウイルス対策ソフトの導入、パッチ管理(ソフトウェアの定期的な更新)、ネットワークの監視、脆弱性スキャンなどが有効です。

1.3.3 人的脅威

人的脅威は、組織の内部に存在する人間の行動が原因で生じるセキュリティリスクです。これには、従業員の不注意や悪意のある行為、内部犯行などが含まれます。

  • 内部犯行
    組織内の従業員や元従業員が、機密情報を盗んだり、システムに不正アクセスして破壊活動を行ったりすることです。内部犯行は、企業のセキュリティにとって最も危険な脅威の一つです。

  • 人的ミス
    従業員が誤って機密情報を漏洩したり、不適切な設定を行ってシステムに脆弱性を生じさせたりすることがあります。例えば、重要なデータを誤って削除したり、パスワードを外部に漏らすことが人的ミスの一例です。

  • 社会的工学攻撃(ソーシャルエンジニアリング)
    攻撃者が心理的な手法を使って従業員から情報を引き出し、それを基にシステムへの不正アクセスを試みる行為です。たとえば、攻撃者が従業員に対してシステム管理者を装い、パスワードを聞き出すことがあります。

対策としては、従業員へのセキュリティ教育や内部監査の実施、厳格なアクセス管理、パスワードポリシーの強化、ログの監視が重要です。


これらの脅威を理解し、それぞれに適した対策を講じることが、情報セキュリティの維持に不可欠です。特に、物理的・技術的・人的脅威に対する多層防御を採用することで、より強固なセキュリティ体制を築くことが可能です。


脅威の種類を理解することで、どのようなリスクが存在するのかを把握し、適切な対策を講じることができます。これにより、情報資産の保護レベルを向上させ、組織の信頼性を高めることが可能です。

次のセクション「1.4 攻撃者」では、これらの脅威を実際に引き起こす攻撃者の目的や種類について詳しく解説します。攻撃者を知ることで、より効果的なセキュリティ対策を立案することができます。

公開: 2024-09-18 更新: 2024-09-24